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●カンザーマングローブ生物園保護区の概要

カンザーはホーチミン市の南約60kmの海岸地区に位置し、総面積は75,740haです。この地区での植林活動や事例研究が認められ、1992年にベトナムの環境保護林に指定され、2000年には、ユネスコの生物園保護区に指定されました。

●ベトナム・マングローブの森の破壊と再生の歴史

フランス統治時代(1887〜1945)の植民地政策で、輸出用のコメの増産が図られ、広大なマングローブ林が水田に転用されました。そして、ベトナム戦争(1962〜1972)で、アメリカ軍が南ベトナム解放戦線ゲリラの拠点であるという理由から、大量の枯葉剤を散布されたことにより、マングローブの森はほぼ全てが破壊され、この10年間の戦争で散布された延べ面積は、1,732万ヘクタール。実に日本の国土の約40%に相当します。その後、戦後復興や人口増加に伴う建材、燃料などの確保や堤防建築(土と石で造る堤防の強度を増すためにマングローブの木や枝を大量に埋め込む)、塩田の開発などで、戦後のマングローブ林の破壊も急速にすすみ、80年代からベトナム政府が外貨獲得のために奨励したエビ養殖の影響もマングローブ林の破壊に拍車がかかりました。
そこで、ベトナム政府や地域住民、ボランティア、NGO団体などの積極的な植林事業によって現在は、豊かなマングローブの群生地として再生されています。

●カンザーのマングローブの森の問題点

近年、地球規模の環境問題解決の必要性が論じられている中、マングローブ林は地球規模の環境変動を和らげる緩衝帯であり、海洋生態系と陸上生態系の接触面として、両生態系を維持するための森林保護及び海洋保全の対象として重要です。その為、マングローブ林生態系の修復と開発を両立させるためには、効率的な造林技術とダメージの少ない開発技術の確立が必要であり、また、温暖化効果ガス等の削減に対するマングローブの寄与する度合いなど、多くの研究者が調査、研究を行っていますが、まだ現場に適用できる実用的な解決策を見いだせないのが現状です。

 
 
 
 
 


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